畑の一帯にディスプレイされたかかしたち。
何かの宣伝でもなく、お店案内でもないのに、一体だれが何のためにこの「農アート」という空間を作り出しているのかとずっと前から気になっていました。
みなさんこの不思議な感じ、伝わりますか?

さて、こんにちは!
編集長のクシダユリです。
南山梨に移住した頃、周辺の日帰り温泉をいろいろ開拓していたんですが、
ある時身延町の「門野の湯」の存在を知って、休日の朝、一番風呂を目指して車を走らせていました。
知らない道でおそるおそる進んでいたのもあり、この「農アート」の光景が突如現れたときは本当に驚いたのを覚えています。
にぎやかな雰囲気を醸し出しているのに、すごく静か。
今にも動き出しそうなのに、動かない。(動いたら怖いですが笑)
このギャップに2度見しない人はいないんじゃないでしょうか。
なぜこのようなかかしたちがあるのか数年ずっと疑問だったので、調べてみました!
いざ、ここで「農アート」を明らかにしていきましょう!
Contents
農アートとは?

「農アート」とは身延町門野(かどの)の一画に、かかしがディスプレイされた一画のことです。
なんともいえないリアルなかかしたちが、ハイテンションでわいわいしているというシュールなおもしろアート。
場所は門野の湯への道の途中@身延町
場所は、門野の湯の手前、県道808号線の道沿いの畑で見ることができます。
ディスプレイされている様子
ディスプレイの様子は、こんな感じ!



誰がなぜ作るように?農アートの変遷は?
なぜ作るようになったのでしょう?農アートの仕掛け人に話を聞きました。
作っているのは身延町の大久保茂和さん

「農アート」を施しているのは、身延町の大久保茂和さん。
もともとは建設業で働いていた大久保さんですが、定年退職後、いろいろとものづくりを楽しむようになったそう。
最初は人形を飾るための台の製作から作ることにハマり、今では、かかし以外にも表札や神様をまつる祠などさまざまなものを作っているのだとか。



なぜ作るようになったのか?
5年くらい前から始めたというこの農アート。
「農アート」を思い立ったのは地域の農政委員を務めたことがきっかけだそうで、農業を盛り上げようという気持ちから始めるようになったのだそう。
テーマごとのディスプレイで衣替えもしていた

1体1体細かく作り込まれたかかしだけでも十分おもしろさがありますが、当初は土木の仕事をしている人の様子や家族で団らんをしている様子、お祭りの様子など、5つのテーマを設定して、それぞれの服やポーズなどを考えてディスプレイしていたそう。
また、季節ごとにかかしたちは衣替えもしていて、だんだん服の色があせてきたのを見た人がわざわざ「かかしたちにこの服を」と持ってきてくれることもあったとか。
とっても大変そうですが、「これをいろいろ考えてやるのが楽しいんだよ。」と大久保さん。遊び心がステキです!
大久保さんのかかしの過去作品
大久保さんのかかしをみて、お店や会社の前、地域のお祭りのディスプレイ用に作って欲しいといった要望もあり、密かに人気を集めているのだそう。下の画像は過去に制作されてきたかかしたち♪



気だるく腰掛けている感じや、猫背気味で立っている様子など、かかしからは絶妙なリアルさ、人間くささがにじみ出ています。
かかしはどんなつくり?
ところで、このかかしたちはどのようにして作られるのでしょうか?

かかしの本体はマネキンか?と思いきや、なんと大久保さんが自作した木の人形でした。すごい手のかけようです!
関節もちゃんとあるのでポージングも自由。
腕や足は発砲スチロールのシートで肉付けをしていて、その上から服を着せてかかしが作られています。
顔は、百均で買ったという白い無地のお面に、1つ1つ表情を描いているそうで、お面の下には目を書いた紙を忍ばせて、頭にウィッグをかぶせたら、リアルなかかしのできあがり。
めがねをかけると、より人間らしくなり、遠目に見ると本物のよう!

大久保さんは、1体1体、骨組みから肉付け、顔作りからヘアセット、服のコーディネートもしてかかしを作り上げ、さまざまなポージングでディスプレイしているのです。
「こんな人、いるいる!」思わずとうなるような絶妙な表情と仕草のかかしたちは、ぜひ生で見てもらいたい!
今は屋根を作ってディスプレイ

現在のディスプレイは、作り始めた頃よりは少し縮小したものの、かかしたちが雨ざらしにならないよう大久保さん自作の小さなハウス付きで設置されています。
屋根付きとなったことで、かかしたちにとってはよい環境に!
立て看板の「よってけし!」というポップな看板も相まって、かかしたちから全力のウェルカムエールが聞こえてきそうです。
ぜひ、機会があれば生で見に行ってみてください!