身延町の特産品の「あけぼの大豆」。「身延町の地域独自の産品」という国からのお墨付きの意味を表すGI登録もされて、人気や知名度がさらに上がりつつあります。
「あけぼの大豆」は、10月がちょうど枝豆の収穫シーズン。最近は、あけぼの大豆の新商品が登場したり、大学生との共同企画を進めていたりと、「あけぼの大豆」がホットです。今回お話を伺ったのは、「あけぼの農園株式会社」取締役専務の浅野秀人さん。あけぼの大豆に関する動向などについて伺いました。
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プロフィール:浅野秀人さん

「あけぼの農園株式会社」取締役専務。2019年10月に地域おこし協力隊として身延町に移住する。移住前は横浜で会社を経営。第2の人生は農業をしながら暮らしたいという想いから、移住先を探し、身延町の協力隊の募集を見つけて応募し、赴任。
配属されたのは、当時、町の管轄施設であった「身延町あけぼの大豆拠点施設」で、畑の管理や、販売、加工品の商品開発など、広く「あけぼの大豆」に関わる業務に携わる。
2022年には町が拠点施設を「あけぼの農園株式会社」へ指定管理として委託、2022年9月に協力隊は満期となるが、今後は「あけぼの農園株式会社」取締役専務として、さらなる「あけぼの大豆」のプロモーションを行なっている。
「あけぼの大豆」とは

「あけぼの大豆」についてよく知らないという方のために、まず「あけぼの大豆」について解説していきます。
「あけぼの大豆」の特徴
「あけぼの大豆」は、粒が大きくて甘みが強いのが特徴。通常のサイズと比べると、1.5倍ほど大きく、糖度は10%強高くなっています。
粒を10粒並べると、6寸(18.18cm)の長さがあるということで、「十六寸(とおろくすん)」と呼ばれることもあります。
「あけぼの大豆」の定義
「あけぼの大豆」とは、身延町曙(あけぼの)地区で採取した1年目の種子を使用して、きちんとした栽培管理のもと、身延町内で栽培された大豆のことを指します。
「地理的表示(GI)保護制度」においてGI登録がされたことで、上記の条件以外で育った大豆は「あけぼの大豆」といえません。ひらがな、漢字、ローマ字など、表記を変えて名乗ることもできないので、「あけぼの大豆」といえるということは、身延町で栽培された地域独自の産品ということを保証します。
「あけぼの大豆」の由来
「あけぼの大豆」は江戸時代ごろに、関西から持ち込まれた大豆が起源と云われています。曙地区の環境は大豆の生育に良好で、代々種子を受け継ぎながら、この地域固有の大豆になっていったと伝えられています。ただし、残念なことに、文献が残っているわけではないため、正確には不明です。
「あけぼの大豆」と呼ばれるようになった由来としては、昭和45年頃に地元のJAが「あけぼの印の枝豆」という名前をつけて、東京に出荷したことからと云われています。この販売の記録は残っていて、良質な枝豆として東京の市場ではかなり売れて、そこから生産量も増加したのだそう。
「あけぼの大豆」の生産地
種子は身延町曙地区で採取した1年目のものと決まっていますが、生産地は身延町内であればどこでもOKです。その中でも、元祖である曙地区が、生産地としてはやはり最適な場所となっています。
というのも、以下のような、大豆の生育にとっての好条件がそろっているためで、より質の良い「あけぼの大豆」を栽培しやすいのです。
・日中と朝夜との気温差が大きいこと
・霧が多いこと
・山間部だけれども日当たりのいい土地
「あけぼの大豆」の旬
枝豆は10月で、大豆は12月に収穫ができます。
「令和の大嘗祭」が
「あけぼの大豆」の転機に
2019年10月から、協力隊として関わり始めてから現在に至るまで、「あけぼの大豆」の知名度はどのように変化したと思いますか?

悲願のGI認定!
あけぼの大豆はどう変わる?

「地理的表示(GI)保護制度」とは
「地理的表示(GI)保護制度」とは、産品の名称を、知的財産として登録して保護する制度です(※)。世界の100カ国以上の地域でも適用されている、国際的な保護制度でもあります。
GI登録をされると、身延町内で決められた条件で作られた大豆のみ、「あけぼの大豆」を名乗れます。同じ種でも身延町以外の地域で作った大豆など、どんなにそっくりなものでも、「あけぼの大豆」とは名乗ることができません。
また、「アケボノ大豆」「曙大豆」「AKEBONO DAIZU」など、いかなる表記に変えても使えないので、「あけぼの大豆」は、身延町で栽培されたもののみが名乗れる唯一の名称として守られているのです。

悲願の達成だったんですね!

もし枝豆だけなら、もっと通りやすかったかもしれない。でも、そうなると、枝豆では「あけぼの大豆」の名前が守られても、大豆になると「あけぼの大豆みたいな大豆」も「あけぼの大豆」と名乗れてしまうことになる。それは避けたかったんです。
あるときは、「身延あけぼの大豆」なら申請が通りやすいよと言われたこともあったらしいんですが、それだと、「北杜あけぼの大豆」や「甲府あけぼの大豆」など、他の地域名で使われてしまう可能性がある。「あけぼの大豆」という名前自体が、身延町で育てられた大豆ということを表すものであってほしいから、そこはこだわって、申請を出し続けたんです。
そうだったんですね。

GI登録を通すには、身延町発祥のものであるという裏付けが必要になるので、逆を言うと「あけぼの大豆」は、素性が確かなものとして、国に認められたということでもありますね。
GI認定で「あけぼの大豆」のさらなる
クオリティアップにつなげたい

GI登録をされて、今までと変わった点はあるんでしょうか?

どこで、何平米のところで、いつどんな肥料をどのくらいやったのか、消毒したかなど、記録をつけないといけないから、大変で。ちゃんと、「あけぼの大豆」の条件で作っていたとしても、その記録をつけていなかったら、「あけぼの大豆」とは名乗れません。「あけぼの大豆」を名乗って出荷するには、生産者が管理に責任負う必要があるんです。
そうなんですか!肥料や消毒などの量や、種類に指定はあるんでしょうか?

なるほど。シールのついた「あけぼの大豆」なら、食の安全性を気にする人にも良いですね。

また、GIは海外でも通用する規格だから、世界に打って出るチャンスがあれば、ハラール認定を受けられるといいなとも考えています。世界規模の最高ランクも目指したいですね。
「あけぼの大豆」の商品が豊富!
スイーツや惣菜、化粧水も

新商品が完成!
「あけぼの大豆」のアイス2種
「あけぼの大豆」の枝豆は、ちょうど10月が旬なので今の時期は食べられますが、惣菜やスープなど、さまざまな商品も常時販売されていますよね。「あけぼの大豆」の新しい商品などはありますか?

大塚製薬がアドバイザー!
大学生と共同で商品開発中!

商品はどんなものを開発しているんですか?

実は、大塚製薬さんがアドバイザーとして入ってくださっています。大塚製薬さんというと、「Soyジョイ」といった大豆商品の開発もされていて、製薬会社さんとしていろんなデータも持っていらっしゃいます。
山梨学院大学では運動が盛んだから、最初はスポーツ選手用にプロテイン商品をという案が学生さんから出たんだけど、「実は大豆プロテインは、動物性のプロテインに比べて、運動の分野だと、ちょっと推しが弱い」という大塚製薬さんのアドバイスがあり、そこから商品を練り直しました。
大豆イソフラボンは女性に響きやすいキーワードということから、化粧水とか化粧品はどうだという話になって、話がまとまってきたんです。これから、さらに具体化していくので、今後期待していてください。
「あけぼの大豆」は、
食だけでなく、経済の観点でも

GI登録をされて、新商品や学生さんとの共同企画もあって、話題がいつでも豊富!これからもますます「あけぼの大豆」が盛り上がりそうですね!

経済?それはどういうことでしょうか?

もう実行されているんですか?

それはいいですね!ちなみに、ざっとどのくらい稼げるものなんですか?

「あけぼの大豆」の
これからの展望

「あけぼの大豆」は、本当に大きくて、おいしいので、「丹波の黒豆」みたいな最高級品の大豆、といったポジションになるといいですね。

また、「あけぼの大豆祭り」をいつかやりたいなと思っていて。10月に開催して、例えばそこで品評会とかもできれば、そこで得た「何年度の優秀賞」といったステータスは、名誉になって、より質の良い「あけぼの大豆」を作ろうという、競争意識が出てきていいんじゃないかなと。今後、そんなこともできたらいいなと思います。
「あけぼの大豆」の商品
購入はこちら
あけぼの大豆のシュウマイやスイーツの「ミノブラン」などが購入できます。

産地直送の生の枝豆が購入できます。(時期限定)

他にも山梨県の特産品も販売しています。

「あけぼの大豆」の商品など、山梨県身延町の「ふるさと納税」商品を掲載しています。

⑤楽天市場
産地直送の生の枝豆が購入できます。(時期限定)

⑥ふるなび
「あけぼの大豆」の商品3点セットです。

⑦さとふる
「あけぼの大豆」の商品など、山梨県身延町の「ふるさと納税」商品を掲載しています。
